来季も現役の長谷部誠に福田正博が期待すること「彼ならできる」 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 それはアウェーでの試合に表れていた。1年目の長谷部はリーグカップ戦に1試合出場したのみだが、遠征にはいつも17番目の選手として帯同していた。ベンチ入りできる16選手に何か起きた場合の備えでもあったが、それ以上に、試合に向けた流れや、先輩選手たちの気持ちの持っていき方などを身近で長谷部に経験させようという狙いがあった。

 しかし、高校を出たばかりの選手が、それを理解するのはなかなか難しい。遠征に帯同しても試合に出られるどころか、ベンチにも入れないし、練習も満足にできない。そのため「残って練習したい」と不満を漏らすこともあった。ただ、2年目から試合にコンスタントに出場するようになった時、この経験が彼を助けたと思う。

 浦和時代の長谷部は、ゴール前にドリブルで持ち込むプレーも多いMFだった。ピクシー(ストイコビッチ)やロナウジーニョ、ネイマールのようなトリッキーさはないけれど、無駄を削ぎ落としたプレーで推進力を発揮した。そのプレースタイルと端正な顔立ちから、仲間内では"和製カカ"と呼ばれたりもした。

 ただ、そうしたプレーがドイツでは通用しなかった。欧州に渡ったことが、彼にとってターニングポイントだったと思う。

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