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メッシがいつもフリーになるのはなぜか。
老獪に狙っている2つの瞬間 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer
DFラインの裏へ走り
スルーパスを呼び込んでシュート

 メッシはどれだけ執拗にマークされていても、一瞬だけ相手の意識から自分が消える瞬間を知っている。この時もまさにそれを狙っていた。

相手DFラインが上がり、ボールに目が行った瞬間にメッシは裏へ走り出し、スルーパスを受けてゴールした相手DFラインが上がり、ボールに目が行った瞬間にメッシは裏へ走り出し、スルーパスを受けてゴールした その"瞬間"をつくり出す要素は2つある。1つはマウコムからビダルへの"バックパス"だ。基本的に守備陣形はボールの動きに合わせて動くので、バックパスの際はラインを押し上げる。このシーンのエイバルもそうだった。メッシはこの押し上げられる相手DFラインと、入れ替わるタイミングを狙っていた。

 そしてもう1つは、相手の視線だ。DFはどんなに周囲に気を配っていても、ボールが渡ったその一瞬はボールホルダーへ視線が向き、意識を奪われてしまいがちだ。このシーンでもビダルの足元にボールが収まった時、エイバルDFたちの視線はその一点に集まっていた。

 メッシが狙ったのはこの2つが重なるほんの一瞬だ。ビダルにボールが渡り、メッシは一気に加速。エイバルDFたちはビダルのノールックパスという名演技にフリーズし、次の瞬間にもう一度凍りつく。上がったラインと入れ替わり、視線から消えたメッシがエリア内でフリーとなってボールを受けとったのだ。

 もう結果は見えていた。老獪なハンターの如く、その一瞬を撃ち抜いたメッシ。まさに名人級のラインブレイクによるゴールだった。

【動画】ストライカーのオフ・ザ・ボールの動きがよくわかるゴール特集>>
(エイバル戦のメッシゴールは、1分08秒~1分33秒)

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