2020.05.08

東京五輪世代の「背番号10番」。
スペインの新鋭は筋骨隆々ファンタジスタ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

東京五輪世代
ポジション別スター候補(8)
セカンドストライカー

 かつて、「背番号10」というポジションがあった。FWの背後で自由に華麗にボールを運び、鮮やかにラストパスを送る。有り余る才能が故に、守備や規律から解放される、聖域的ポジションだ。しかし戦術の革新は、その権威をはく奪した。

「規律正しく動き、守備に参加し、周りを補助し、組織の一員となれ」

 そんな指示は、背番号10の流儀とは相いれなかった。そういう意味で、アルゼンチンのフアン・ロマン・リケルメは、最後のナンバー10と言えるかもしれない。戦術と折り合いをつけるのは難しく、指揮官と衝突することもしばしばだった。しかし、ひとたびゾーンに入ると、時代を画すような技巧の数々を見せたのだ。

 ただし、彼らは絶滅したわけではない。

スペインU-23代表のミケル・オジャルサバル(レアル・ソシエダ) 0トップ、もしくはセカンドストライカーという形で、生き残っている。ファンタジスタでありながら、ストライカーとしての才覚に恵まれ、フィジカル、タクティクスの両面で順応できる。元イタリア代表のフランチェスコ・トッティはその第一人者だった。前線のプレーメーカーとしてダイナミックな攻撃を可能にし、屈強を見せながら、決定力も誇った。