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「東欧のマラドーナ」は技の宝庫。
ハジの芸術的パスと伝説のゴール (4ページ目)

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 決勝トーナメント1回戦の相手はアルゼンチン。ディエゴ・マラドーナは大会期間中にドーピング検査にひっかかり追放されていたが、ガブリエル・バティストゥータ、フェルナンド・レドンド、ディエゴ・シメオネなどスター選手が揃っていた。

 試合は1-1の同点で迎えた前半18分、ハジがドリブルで右サイドを攻め上がると、ニアサイドに走り込んできたイリエ・ドミトレスクにスルーパス。ドミトレスクは右足で合わせるだけという芸術的なパスだった。後半13分には自らシュートを決め、3-2でアルゼンチンを破り、準々決勝進出を決めた。

 準々決勝ではスウェーデンを相手に死闘を繰り広げ、ハジのフリーキックから2点が生まれ2-2に。ルーマニアはPK戦で力尽きた。

 この大会で筆者が拠点としていたロサンゼルスの小さなホテルには、ルーマニアのメディアも泊まっていた。だが彼らは、スウェーデン戦は取材に行かないと言う。

「サンフランシスコまで移動する飛行機代がない。でも、勝てば準決勝、決勝はロサンゼルスのローズボール。だから、俺たちはテレビで応援するよ。大丈夫、ハジがやってくれるさ」

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