バルサの危機。MSNへの熱狂の陰で「青とえんじの色」は薄まり続けた (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 しかしながらエンリケ・バルサのチーム構造は、クライフ以来のバルサの伝統には背を向けるものだった。実像は単純なカウンターサッカー。MSNの得点力だけで打ち負かす戦い方だった。

 それでもシャビ・エルナンデスがいた。プレーのテンポを作り出せた。しかしシャビが退団した2年目の2015-16シーズンは、リーガ優勝したものの、CLはベスト8止まり。3年目はアンドレ・ゴメス、リュカ・ディニュ(ともに現在エバートン)、サミュエル・ウムティティなど多くの外国人選手を獲得したが、攻撃は単調で相手に読まれ、リーガ優勝を逃し、CLもベスト8だった。

 その後、青とえんじの色は薄まり続けた。

 2016年3月、危篤状態だったクライフが亡くなった。

 2017年8月、ネイマールが反旗を翻し、パリ・サンジェルマンに2億2000万ユーロ(約260億円)で移籍。

 2017年8月、フランス代表ウスマン・デンベレをドルトムントから1億500万ユーロ(約125億円)で獲得。

 2018年1月、ブラジル代表フィリペ・コウチーニョ(現バイエルン)をリバプールから1億2000万ユーロ(約144億円)で獲得。

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