バルサの黄金時代を築いた男。グアルディオラは何をもたらしたのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 彼は選手をそう叱咤した。その「勇敢に」は、「必死にボールを奪え」「球際で負けるな」というフィジカル的な意味合いではない。ボールをつなげる、その怖さに打ち克ち、攻め勝て、というメッセージである。「攻め続ける」という究極のボールプレーを目指し、80%以上の支配率を誇った。

 2009年5月、サンティアゴ・ベルナベウで行なわれたクラシコでは、金字塔を打ち立てた。バルサは一方的に攻め立てながら、レアル・マドリードに不意を突かれ、先制点を奪われる。しかしメッシを中心に反撃し、すぐに逆転。レアル・マドリードは態勢を整えようとしたが、バルサは相手陣内で激しいプレッシングをかけ、ボールを奪うと攻撃を再開し、絶え間なく攻め寄せる。そしてメッシの2得点などにより、2-6と敵地で大観衆を沈黙させた。

「ベルナベウの沈黙は忘れられない」

 シャビ・エルナンデスはそう証言している。

「(グアルディオラの)バルサは常に選手同士が刺激し合い、成長した。ポジションは流動的で、どこからでも攻撃可能だった。

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