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王者リバプールの敗因。クロップは
シメオネの土俵で戦ってしまった (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

 高いボール支配率は、リバプールにとって居心地の悪い状態にあたるのだ。相手が力の落ちる格下ならハンディにはならないが、実力が相応に接近した相手となると、不本意な戦いを強いられる。

 シメオネはそのギャップを突いてきた。リバプールにあえてボールを長く持たせ、リズムを狂わせようとした。アトレティコも、布陣は違えどもリバプールと同じタイプだ。ボール支配率が低いことを苦にしない。支配率で勝るのは、力が弱い相手に限られる。

 終始、精神面で優位に立っていたのは、押されているかに見えたアトレティコだった。また、ボールを持っても、基本的にうまいので、リバプールの選手を慌てさせることができる。うまさをあえて隠しながらプレーしている印象で、リバプールは、そこに薄気味悪さを感じながらプレーしている様子だった。

 延長前半4分、フィルミーノが2点目のゴールを決めたところまではよかったが、以降はアトレティコが瞬間的にみせる技巧に、たて続けに翻弄されることになった。

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