最強フラメンゴも完敗。南米のクラブが欧州に勝てない理由は明白だ (4ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by AFP/AFLO

 試合の結果と内容の両方で期待を裏切ったフラメンゴだが、ある意味でそれ以上にショックを受けたのが、試合後のブラジルメディアの反応だ。「フラメンゴはよく頑張った」「欧州王者と互角に戦った」というのが大方の論調で、本気で悔しがっていたメディアは皆無だった。

 これがセレソンなら、こういう報道にはならない。敗因が徹底的に分析され、監督、選手が厳しく批判される。それが、スコアはともかく内容は完敗に近かったにもかかわらず、「互角に戦った」と抗弁する。「もともと勝てるとは思っていなかったのではないか」と疑わざるをえない。

 クラブレベルで南米が欧州に後塵を拝する理由は、はっきりしている。各国のリーグとクラブの経済力に大きな差があり、地域リーグ、国内リーグ、クラブの運営能力も大きく劣っているからだ。そして近年、これらの差は広がる一方だ。未来永劫とは言わないまでも、当分の間、南米王者が欧州王者を倒す姿は想像しにくい。

 幸か不幸か、フットボールでは強い方が必ず勝つとは限らない。シーズンをとおして戦うリーグ戦はともかく、一発勝負のカップ戦では番狂わせも起こりうる。それでも......。長年、ブラジルと南米のフットボールを見てきた者としては非常に残念であり、また情けないのだが、当面、世界クラブW杯で南米王者が欧州王者を倒して優勝するのは、欧州王者のコンディションがよほど悪いか、モチベーションが低いか、あるいは審判の重大な判定ミスといったアクシデントにすがるしかないような気がしてしまうのだ。


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