2019.12.23

コクーとカイト。オランダから
ユーティリティー選手が生まれるワケ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

スポルティーバ・新旧サッカースター列伝 最終回

新旧のサッカースターをテーマに分けて綴ってきた連載も、今回が最終回。最後は、複数のポジションを務められるユーティリティープレーヤーとして、活躍したスターを紹介する。

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<コクーとカイトのマルチロール>

 ラモス瑠偉が読売クラブ(現東京ヴェルディ)に加入する際、「センターフォワード(CF)とスイーパーができる」という情報があった。それを聞いた読売クラブの人は「ストッパーとスイーパーの間違いじゃないか?」と思ったそうだ。

※ストッパー...対人プレーなどで主に相手FWをストップする役割のセンターバック
※スイーパー...ストッパーの後方で主にカバーリングを担うセンターバック

オランダを代表するユーティリティープレーヤーだった、フィリップ・コクー(写真左)とディルク・カイト(同右) たしかにCFとスイーパーではポジションが離れすぎている。しかし、実際に来てみると情報のとおりだった。ただ、2つのポジションができる選手はそれほど珍しくない。

 それぞれのポジションにはそれぞれの資質が求められている以上、どちらの能力も持っていなければならないのが前提だが、たとえばスピードに恵まれていれば、サイドバック、ウイングのどちらもこなせる可能性はある。求められていることが極端に違っていなければ、兼任はできるのだ。

 イングランドの伝説的なウイングに、トム・フィニー(※1950年代を中心にプレストンで活躍)がいる。彼は右ウイングだったが、イングランド代表チームの右には当時、スタンレー・マシューズがいた。そこで、フィニーは左足だけスパイクを履いて練習し、左ウイングとしてもプレーできるようになった。イングランド代表ではマシューズの右、フィニーの左が実現した。ウイングというポジションは同じでも、利き足を変えなければならなかったわけだ。