2019.12.20

ジーコもエール。フラメンゴが
クラブW杯「伝説のチーム」を目指す

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by Reuters/AFLO

 クラブW杯準決勝、アジア王者アルヒラルとの一戦は、フラメンゴの選手にとって、ある意味で決勝以上に大きなプレッシャーがかかる試合だった。

 勝てば決勝へ進み、おそらくは欧州王者リバプールと対戦する(準決勝のリバプール対モンテレイ戦は翌日だった)。1981年にジーコらを擁して第1回トヨタカップを制覇した時と奇しくも同じ相手である。欧州王者を倒して38年ぶり2度目の世界クラブ王者となったら、"伝説のチーム"と並んでクラブ史に永遠に残るのだ。

 しかし、もし敗れたら、今季勝ち取ったコパ・リベルタドーレス、ブラジル・セリエA、リオデジャネイロ州選手権の3冠の価値が半減しかねない。これまで大威張りでリオの町を闊歩してきたフラメンギスタ(フラメンゴファン)も、ライバルクラブのファンからここぞとばかりに嘲笑されるだろう。
  
 近年、欧州と南米のクラブの財力の差は開く一方だ。欧州のビッグクラブが世界選抜のようなチームを編成するのに対し、南米のクラブは優秀な選手を育てても、欧州のクラブへ売り渡さざるをえない。だから、クラブ杯決勝で欧州王者に敗れるのは、ある意味でやむをえない(過去10年間、南米クラブ王者が決勝へ進出した6回のうち、欧州王者を倒したのは、2012年にチェルシーに勝利したコリンチャンスだけ)。しかし、準決勝でアジア、アフリカ、北中米のクラブに敗れて決勝にすら届かないというのは、この上ない屈辱なのである。

 このような状況で、フラメンゴの選手たちは極めて神経質になっていた。

クラブW杯準決勝でアルヒラルに逆転勝利し、ホッとした表情のフラメンゴの選手たち 前半、フラメンゴはアルヒラルに高い位置から強烈なプレスを受ける。これは十分に予想されたことだったが、動きが固く、スピードに欠け、ガブリエル、ブルーノ・エンリケらが裏のスペースへ走り込もうとしても、マーカーを出し抜くことができない。また、ボランチで攻守の要となるべきジェルソンに精彩がなく、ピッチ中央を右往左往するだけだった。

 16分、前半のフラメンゴを象徴するようなシーンがあった。左CKを相手GKがパンチングで逃れようとしたが、ゴール前でフリーのジェルソンに渡った。願ってもないチャンス。しかし、"ボールを置きにいった"シュートは、ゴールポストの脇へ。ふだんの彼の思い切りのいいプレーからは考えられない、中途半端な一撃だった。