吉田麻也が信頼のトレーナー。選手に「バカ受け」施術で世界に挑む (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text & photo by Tajima Kosuke

 しかも、木谷が施術を担当しているのは、吉田だけではない。2013年から日本と英国を行き来する生活を送るようになり、サウサンプトンの選手たちの間で高度な技術が評判になった。

 今では、オリオル・ロメウ、ピエール・エミル・ホイビュルク、ジェームズ・ウォードプラウズ、ヤン・ベドナレク、セドリク・ソアレス、ヤニク・ベステルゴーア、スチュワート・アームストロングと、サウサンプトンの7選手と個人契約を結び、ひとりにつき最低月8回のペースで施術を施している。日本人選手をのぞくプレミアリーグ在籍選手と契約を交わしたのは、日本人トレーナーでは初めてのことだ。

 しかし、最初はサウサンプトンの選手たちにすんなり受け入れられたわけではなかった。理由は、木谷が行なう特殊な施術にある。手も使うが、基本的には「足で踏む施術」を行なうからだ。木谷は経緯を明かす。

「足で治療をするので、麻也が『すごくいい施術を行なうから、日本から呼んでもらっている』と説明しても、最初は誰も信じてくれなかった。ケガをしている選手も興味を持つが、麻也が『足で踏む』と説明すると、『なんじゃそりゃ?』となるんです」

 だが、当時チームメイトだった元ポルトガル代表のジョゼ・フォンテ(現リール)が木谷の施術を受けると、その効果は抜群だった。「(実際に施術を受けた)選手にはバカ受けしますから」と吉田。それまで敬遠していたチームメイトたちも、すぐにクライアントになった。

 では、足で施術を行なうメリットはどこにあるのか。

「ハッキリとした名称はないですが、私が柔道整復師の免許を持っているので、『柔道セラピー』とこっちでは呼んでいます」(木谷)。その施術の特長について、次のように説明する。

「手との違いは、圧力の違いだったり、手では届かないところまでアプローチできるところ。さらに、手では出せない独特のリズムがあります。この手では出せないリズムと圧力が一番の違いです」

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