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菅原由勢、ポゼッションも疑似カウンターも
狙うAZで成長。「いい流れ」 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 後ろでチョコチョコとボールを回すのではなくて、前が空いていたらすぐ通す。だからこそ、押し込むことができて、相手陣地でボールを持つ回数も多い。そういうポジション取りを無駄なくスムーズに行なえているのが僕らの特徴です」

 AZのサッカーは長年、『サーキュレーション・フットボール(パス循環システムのサッカー)』と呼ばれている。ショートパスとミドルレンジのパスを織り交ぜながら、左右に広く、縦に速く、正確にパスをつなぎ続けて相手を振り回すサッカーだ。

「ポジションのかぶりがない」「パスとポジション取りに無駄がない」「選手がシンプルに理解している」。菅原の言葉からこれらのフレーズを抽出すると、AZの『サーキュレーション・フットボール』の秘密が解けてくる。

菅原は開幕時、「優勝を狙います」と言っていた。当時、その言葉にはパフォーマンス的なニュアンスも含まれていたと思う。しかし今、AZは本命アヤックスの対抗馬に名乗りを上げようとしている。

 トゥウェンテに所属する菅原と同い年の中村敬斗は、AZ戦をベンチから見てこう言った。

「AZはガチで優勝できそうじゃないですか。むちゃくちゃ強くないですか? フェイエノールトに3-0で勝って、PSVにも4-0で勝っちゃった。アヤックスに勝てれば、優勝もありそうですね」

「もしかしたらAZが優勝争いに加わるかも」という空気がオランダで生まれ始めている――。そう菅原に訊くと、「AZのサッカーを見れば当然のこと」と明快な答えが返ってきた。

「AZは(2位という)順位に値するサッカーをしていると思う。選手は日頃からハードワークしていますし、一体感もあるから。今はチームの結束力が本当にすばらしいと思います」

 20歳のステングスがオランダA代表まであと一歩のところまで来ている。それを間近で見た菅原は刺激を受けながら、「僕も負けてられない。A代表は誰もが目指すところなので、僕も一日でも早く行けるように、ここで結果を残したいと思います」と飛躍を誓った。

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