2019.11.07

世界有数の問題児、エジムンド。
日本でも活躍したお騒がせFWのクラブ愛

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

スポルティーバ・新旧サッカースター列伝 第10回

天才的なプレーの数々を見せながら、ピッチ外の強烈すぎる話題のほうで世界の注目を浴びたのが、ブラジルのエジムンドだ。Jリーグでもプレーした、破格のストライカーの人生をなぞる。

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<水もしたたるエジムンド>

 水もしたたる、いい男。女性なら鶏群の一鶴なんて言われるが、もう一目でそれとわかる美男美女がいるもので、周囲にたくさん人がいても、そこにだけスポットライトが当たっているように見える。

2000年、ヴァスコ・ダ・ガマでクラブワールドカップを戦うエジムンド 2013年にブラジルで行われたコンフェデレーションズカップの、取材エリアで見かけたエジムンドがそうだった。間近で見るまで、あんなに二枚目だとは思っていなかった。テレビ局の仕事をしていて、ブラジルではとても人気があるという。

 背は高くないが、なぜかパワーが漲っている感じがする。どこかの廊下ですれ違った柔道家の吉田秀彦氏と似た雰囲気だった。体の大きさとか筋肉ムキムキというのとは違っていて、触っただけではじかれそうな圧を纏っている。日本のサッカー選手では家長昭博(川崎フロンターレ)がそうだが、ほかにはそんなに思い当たらない。

 澄み切った目をしていたのも意外だった。「意外」なのは、目が澄んでいる人のイメージを持っていなかったからだ。端正な外見からは想像できないぐらい、エピソードが満載の人である。

 息子の誕生パーティーに呼んだサーカスのチンパンジーにビールとウィスキーを飲ませ、動物保護団体から抗議された。のちに本人がフェイクニュースであると否定しているが、当時は「やっぱりエジムンドは変わっている」というのが世間の反応だったと思う。もう、そのぐらいのことはやりかねないイメージだったのだ。

 1999年には有名な「カーニバル離脱事件」があった。98-99シーズンの終盤にリオのカーニバルに参加するためにチームを離れ、その間に当時所属していたフィオレンティーナは優勝争いから脱落してしまった。

 マヌエル・ルイ・コスタ、ガブリエル・バティストゥータを擁した当時のフィオレンティーナはセリエA優勝のチャンスだったのだが、バティストゥータは負傷してしまい、そのタイミングで頼みのエジムンドがカーニバルへ。