2019.11.06

バルサ、レアルがもたつき空前の
大混戦に。戦国リーガの下剋上候補

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 これほど拮抗した争いは、少なくとも過去20年で類を見ない。

 リーガ・エスパニョーラは第12節終了時点で、1位のバルセロナから7位のヘタフェまでが、勝ち点差3でひしめき合っている。つまり、わずか1試合で順位ががらりと入れ替わる展開だ。さらに言えば、ヘタフェと13位のバレンシアの勝ち点差も2に過ぎない。

 混戦の理由は、バルセロナ、レアル・マドリードというビッグ2のもたつきにあるだろう。1試合未消化とは言え、今の両雄には盤石さがない。1試合は派手に打ち負かしても、次の試合は力なく勝ち点を落とす。たとえば直近の試合でも、バルサはレバンテに逆転負けを喫し、レアル・マドリードはベティスにスコアレスドローで終わったばかりだ。

レバンテに逆転負けを喫し、浮かない表情のリオネル・メッシ(バルセロナ) ビッグ2を追うアトレティコ・マドリードも好調とは言えない。内容の悪い試合を落とさないしぶとさは見せるものの、しかしチームは一時代を終えた感があり、以前の勢いはない。

 この3チーム以外が優勝したのは、2003-04シーズンのバレンシアが最後である。はたして、今季は下剋上を果たすクラブは出るのか?

 その筆頭候補は、バスクの古豪レアル・ソシエダだろう。現時点でバルサ、レアル・マドリードと同勝ち点で3位。目覚ましいスタートを切っている。

 主力選手の半数近くが下部組織である「スビエタ」の出身者。その比率は欧州全体でも突出している。同じ教えを受けた者たちだけに、一丸となれるのが強みだ。17歳のアタッカー、アンデル・バレネチェアのようなルーキーも育っている。

 22歳で主将を務めるミケル・オヤルサバルは、14歳から「スビエタ」で薫陶を受けてきた。昨シーズンはチーム最多得点を叩き出し、すでにスペイン代表でも主力のひとりとなっている。左利きのファンタジスタだが、バスク人らしく偉丈夫で規律正しく、守備センスも光る。第12節のグラナダ戦では、ディフェンスで相手ボールを奪い、ポルトゥのゴールをアシストした。

 今シーズン好調な理由は、スビエタ組に加え、補強が成功した点もある。レアル・マドリードから期限付き移籍のMFマルティン・ウーデゴール、アーセナルから獲得した元スペイン代表左SBナチョ・モンレアル、ジローナで得点力の高さを見せていたポルトゥ。3人の加入で、チームとしてのスタイルが明確になった。