堂安律のPSVへのステップアップに刺激。板倉「負けてられない」 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 しかし菅原は、8月29日に行なわれたヨーロッパリーグ・プレーオフの対アントワープ戦(延長4-1)には途中から出場している。右ウインガーとして惜しいクロスを3本入れてチームに活力を生み、チームの勝利に貢献した。AZファンの間で語り継がれること間違いなしの大激戦だった。19歳の右サイドバック兼ウインガーは、いい経験を積んでいる。

「あの試合はヤバかったです。(延長戦で)アントワープのサポーターがピッチにいっぱい乱入しようとしていました。試合が終わった瞬間、『ロッカーに走れ!』と言われた。ちょっと落ち着いてから、サポーターのところに行って騒ごうぜ、という感じでした」

 ヨーロッパリーグ・グループリーグ行きを決めたAZは、イングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッド、そして浅野拓磨の在籍するパルチザン・ベオグラードと同じ組になった。

「帰りのバスのなかで抽選結果を見て、マンチェスター・ユナイテッドと戦うことが決まった時、みんな『バアーン!』って(感情が)爆発していました」

 菅原は以前、「AZは優勝する力がある」と言っていた。フィテッセ戦後、その理由を訊いてみた。

「まず、一体感があると思います。そして、それぞれの個性を最大限に活かします。このチームは個性が最大の武器。若い選手が多いので、『やってやるぞ』というナニクソ精神が練習からあふれています。そういう気持ちが、サッカーでは一番大事だと思います。ここから成熟していく一方なので、本当に楽しみ。優勝もできると思っています」

 つまり、堂安のいるPSVと優勝を争わないといけないわけだ。

「堂安選手がいてもいなくても、PSV には負けられない。もちろん強いチームですし、リスペクトもありますが、日本人選手が入ったので、より負けられないという気持ちです」

 堂安のPSV移籍を、菅原はどう見ているだろうか。

「こっちに来て、やはり『PSVは名門だな』と感じています。そこに日本人選手が行けるということは、僕にも行けるチャンスがあるということ。堂安選手のおかげで、日本人に興味を持つ強化部もあると思う。日本人に対する目を、堂安選手が変えてくれる。僕も追いつかないといけないと思います」

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