サッカーの「日常風景」になったVAR。露呈した弱点と今後の課題は

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小澤 最近の戦術は、いろいろなパターンをお互いがやり合うようになってそれがデフォルト化してきたと思います。試合中に分析担当がデータをチェックして、それをベンチに伝えることによって、試合中の戦術変更も頻繁に起こるようになっています。

 ただし、これも原点回帰というか、そういうサッカーになっているからこそ、ベンチからの指示だけではなく、選手がピッチ上で独自の判断を求められるようになっていると思います。プレーをしながら「今どこにスペースがあるか」というようなことを認知、実行できる選手がいるチームのほうが、データどおりに戦うチームよりも上回れる流れになるのではないでしょうか。

中山 結局、ロボットではないから、たとえば同じ4-2-3-1から4-3-3へのシステム変更があった場合でも、誰か1人の調子が悪ければ、機能するものも機能しないというのが前提なので、それを見抜いて穴を見つけられる選手がいるかどうかは重要ですよね。

小澤 今後は、分析できないようなアナログ的な要素によって、勝つチームと負けるチームが出てくるのではないでしょうか。

倉敷 僕ら伝える側には、それらをどうやって可視化するかという課題があります。試合中継中にシステムが変わったと気づいても、事前に予測して、それがどう変わったのかを説明していないのでは、そのコメントの価値はそれほど高くはありません。ビフォー&アフターがおざなりにされている現状では、なかなか解決できないジレンマはありますが、VARに文句ばかり言っていないで、僕らもいかにわかりやすくサッカーの面白さを伝えていくかを工夫しなくてはいけませんね。

 きっとどこかで原点回帰する必要があるのだと思います。だから来季のCLこそ、そういったサッカーの魅力の原点を大切にしながら、世界最高峰の技術を見せる大会の魅力を伝えていきたいと思っています。

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