スペイン、ドイツの凋落なんてありえない。
育成・強化の充実は抜群だ
イタリアで開かれていたU-21ヨーロッパ選手権は、決勝でドイツを2-1と下したスペインが、3大会ぶり5度目の優勝を果たした。
スペインとドイツがこの大会の決勝で顔を合わせるのは、2大会連続。前回はドイツが1-0で勝っていただけに、スペインにとっては借りを返したことになる。
U-21欧州選手権はスペインがドイツを下して優勝した それにしても近年、U-21世代においては、ドイツとスペインの強さが際立っている(大会名はU-21だが、これは予選開始時点で21歳以下のためであり、実際の出場資格は23歳以下。本稿では大会名に合わせて、当該世代をU-21世代と表記する)。
2年に一度開催されるこの大会で2009年以降、スペインが3度、ドイツが2度優勝。つまり、最近6大会のうち5大会で、"2強"のいずれかが頂点に立っているのである。
ひとつ下のカテゴリーであるU-19世代と比較すると、U-21世代で起きていることの"異常さ"がよくわかる。
毎年開催されているU-19ヨーロッパ選手権では、2009年以降の10大会で、7つの優勝国が誕生(今年の大会は7月に開催される)。ウクライナやセルビアといった、A代表の実績から言えば、少々意外な伏兵国も名を連ねている。ここでも(過去10年で)スペインは3度、ドイツは1度優勝しているが、U-21世代ほどの寡占状態にはない。
つまり、まだまだ育成途上にあるU-19世代では、何が起こるかわからないが、選手としての完成形に近づくU-21世代になると、2強の独壇場になってしまう、というわけだ。
では、なぜU-21世代になると、スペインとドイツばかりが、これほどの成功を収められるのか。その理由のひとつとして挙げられるのは、継続性だろう。
なかでも、ボールを保持してゲームを進めることを前提に、どれだけ必要な技術や戦術を身につけられるか。それを継続的に強化するという点において、両国は他に一歩先んじているように見える。
現在のサッカーは、大まかにポゼッションか、カウンターかで、志向するスタイルを色分けされることが多い。日本代表はポゼッションを目指すべきか、カウンターを目指すべきか、といった具合だ。
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