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1年前と違うオーラ。オランダ代表が
サッカー大国復活へイケイケだ (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 つまり当時のオランダは、イングランドに対して「アンダードッグ」の立場だった。その試合はホームゲームであったにもかかわらず、ほとんど見せ場を作れぬまま、0−1で敗れている。

 しかし、アヤックスとPSVが若手層の底上げを図り、他国で切磋琢磨する主力選手たちとうまくミックスされた結果、オランダはネーションズリーグで躍進を遂げた。戦前の予想をいい意味で大きく裏切り、フランスやドイツを破ってベスト4に進出。ネーションズリーグ準決勝を前に、クーマン監督は「1年数カ月前にイングランド戦を戦ったオランダ代表と、今のオランダ代表は大きく違う」と胸を張った。

 こうして迎えた、6月6日のネーションズリーグ準決勝。イングランドとの一戦は、まさにオランダが著しい成長を証明した試合となった。

 結論から言うと、オランダは延長戦の末にイングランドを3−1で破り、9日のポルトガルとの決勝戦に進むことになった。FWメンフィス・デパイはノーゴールながら3ゴールすべてに絡み、デ・ヨングは献身的な守備をベースにチャンスメイクの起点となっていた。

 一方、守備では30分、CBのデ・リフトが自陣のペナルティエリア内でトラップミスを犯してしまった。
相手FWマーカス・ラッシュフォードにボールを奪われ、慌ててスライディングタックルをした結果、ファウルとなってイングランドのPKに。先制されるきっかけを与えてしまった。

 だが、ミスをしたデ・リフトに対し、クーマン監督はハーフタイムに叱ることも励ますこともしなかったという。すると後半、デ・リフトはミスを引きずることなく落ち着いて守備陣を統率すると、73分にはコーナーキックから完璧なタイミングでヘディングシュート。同点弾を決めて、自身で試合を振り出しに戻したのだ。デ・リフトのメンタルコントロールは、19歳とは思えぬものがある。

オランダ代表が暗黒期の真っ只中だった2017年3月、当時17歳だったデ・リフトはワールドカップ予選のブルガリア戦の先発に大抜擢された。だが、その試合で2失点に絡んでしまう。あれから2年、デ・リフトはアヤックスのキャプテンを務めるほどのDFになった。ひとつのミスで崩れるほど、デ・リフトはヤワではない。そのことを証明した同点弾だった。

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