2019.06.07

1年前と違うオーラ。オランダ代表が
サッカー大国復活へイケイケだ

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 1年前、チャンピオンズリーグの決勝戦でレアル・マドリードに敗れたリバプールのメンバー、DFフィルジル・ファン・ダイクとMFジョルジニオ・ワイナルドゥムは、失意のままオランダ代表合宿に加わった。フィジカル的にもメンタル的にも疲労を隠せなかったふたりは、6月最初の国際試合、スロバキア戦の出場を見合わせている。

自らのミスを同点弾で帳消しにしたマタイス・デ・リフト だが、今年のふたりは違う。トッテナム・ホットスパーとの戦いを制し、CL優勝メンバーの一員となったファン・ダイクとワイナルドゥムは、自信とオーラとやる気をみなぎらせて、オランダ代表の合宿に加わった。

 ネーションズリーグ準決勝、イングランド戦の試合前日記者会見。ロナルド・クーマン監督はうれしそうに、「去年と違って、ファン・ダイクもワイナルドゥムも試合に出たがっている。イングランド戦はふたりを含めてフルメンバーで挑む」と宣言した。会見直後に行なわれた練習でも、このふたりのコンディションのよさは際立っていた。

 1年前と比べて自信をつけたのは、このふたりだけではない。

 MFマルテン・デ・ローンはセリエAで3位となったアトランタの大躍進を支えた。PSVはCLグループリーグで「死の組」に入り、結果こそ出せなかったが個々の試合で善戦し、SBデンゼル・ダンフリース、FWステーフェン・ベルフワインがブレイクした。そしてなにより、CLベスト4進出を果たしたアヤックスのDFマタイス・デ・リフト、DFデイリー・ブリント、MFフレンキー・デ・ヨング、MFドニー・ファン・デ・ベークは、一気に世界で知られる有名選手になった。

 こうした個の成長と、チームの成長がリンクしているのが、現在のオランダ代表だ。クーマン監督がチームの指揮を初めて執ったのは2018年3月、イングランドとの親善試合だった。

 当時のオランダは、2016年ユーロと2018年ワールドカップの出場権を連続して逃し、国全体が自信をなくした時期だった。クーマン監督も、強豪国相手にポゼッションで優位を作れないと悟り、5−4−1のフォーメーションで後ろに重心を置き、カウンターサッカーでチームビルディングを始めた。