3大リーグへの登竜門。昌子源がフランスで成功する条件を考えた (2ページ目)
最近はパリ・サンジェルマンという例外的な金満クラブも登場したが、基本的にクラブは成熟した選手を獲得することにほとんど興味を示さない。クラブと選手たちの目的は、あくまでもフランスで成功した後にビッグクラブへステップアップ移籍を果たすこと。よって即戦力補強という側面よりも、若手選手の将来性やポテンシャル重視の獲得が圧倒的に多く、そこにフランスが「ヨーロッパ随一の選手輸出大国」として君臨し続けている理由がある。
そんなリーグ・アンでは、残念ながら日本人を含めたアジア諸国の選手の市場価値はまだ低い。アフリカ諸国、もしくはアフリカ諸国にルーツを持つフランス人選手、あるいは南米諸国の選手と比較した場合、どうしても各クラブは成功例の少ないアジア系選手への投資にメリットを見出せないのだ。
そして、もうひとつの理由として考えられるのは、フランスリーグが極めてフィジカルなリーグであるという点だろう。
とりわけ1990年代以降、フランスリーグにはアフリカ諸国、もしくはアフリカ諸国にルーツを持つ選手が大半を占めるようになり、近年はサッカー自体が大きく様変わりした。テクニックからフィジカルへ――。近年のリーグ・アンでは、その傾向がより色濃く示されるようになっており、そこが日本人選手にとって高いハードルになっていることは否めない。
しかしながら、日本人選手にとってネガティブに思われるこれらの理由を逆からとらえれば、フランスで地位を確立すれば、日本人選手でも3大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア)の主要クラブで通用するという証明書を手に入れられるため、ステップアップ移籍の扉も開かれることを意味する。
フランスでの成功は、ヨーロッパの移籍マーケットにおいてそれほど信用度が高く、実際、昌子のポジションであるセンターバックの過去の例を見ても、数えきれないほどの成功者たちがいる。
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