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メッシやネイマールがいてもダメ...南米勢が苦戦するワケ (2ページ目)

  • photo by JMPA

小澤 僕はダニ・アウベスの不在がこれほど大きくなるとは思っていませんでした。やはり彼の不在によって、最初は右サイドバックにダニーロを使いましたけど、すぐにファグネルに変えて、どちらかというと右サイドはウィリアンひとりに任せて左サイドから攻めるという、左寄りの攻撃にシフトした。

 そのことで、コウチーニョをインサイドハーフに置いたこともあって、攻撃が左サイドに偏りすぎた部分があったと思います。そのなかで、ネイマールのコンディションがトップフォームから比べると少し見劣りしていたことも含めて、予選の時のような強さや安定感がなかったと思います。

倉敷 ヨーロッパサッカーを分析するのと同じアプローチやメソッドでブラジルのサッカーを見た時に、小澤さんはどんなところが戦術的に興味深かったか教えてください。

小澤 ブラジルの強さは、ヨーロッパのように監督主導で戦術を落とし込んで、それによって選手たちが駒のように動くという部分とは違って、より選手に主体性を持たせて、あるいは自由を与えて、より選手が自分たちの裁量で局面を打開していくところがブラジルのよさであり、強みであると思います。とくにマルセロとネイマールの関係が象徴的ですが、彼らが局面局面で、攻撃においては相手を見ながら崩していきますので、ヨーロッパ勢からすると読みにくいですし、対応しにくいことは思います。

 逆に、今大会でいうと、チッチ監督が早めにチームの骨格や主力を固めて大会に臨んだところが裏目に出てしまった印象ですね。ただ、チッチ監督のブラジル、あるいは南米の監督としてのチーム作りとしては、間違ってないアプローチだと思うので、今後もブラジルは国際大会に出る度に最低でもベスト4に入ってくるだけの強さ、タレント力、育成力を持っているんじゃないかなと思っています。

倉敷 中山さん、チッチのチームになってからのいちばんの特徴は、クリーンシートが非常に多いチームだということですね。セレソン・ブラジレイラは攻撃的なイメージを持たれているファンの方も多いでしょうが、実は守備が非常に強い。

中山 強いですね。これが最大の特徴でしょう。無謀に両サイドバックが上がって、後ろが2、3人しかいないという状態がほぼありませんし、相手のカウンターに備えて必ず4人はしっかり後ろに残っているのが大原則になっています。そこが、守備の強さにつながっていたと思います。だからこそ、攻撃は少ない人数でコンビネーションを取っていかなければいけないという辛さが若干あったかもしれません。

 昔のブラジルみたいに、テクニックを駆使して、横パスを使いながらうまくリズムを取って、相手を揺さぶってから仕掛けるところでショートパスやドリブルで突破するというパターンとはまた少し違っていました。現在はほとんどの選手がヨーロッパでプレーしていますしね。ただ、しっかり守備をベースにしているので、今大会も失点は少なかったのですが、ベルギー戦でやられてしまった格好になってしまいました。

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