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セレソンは甘やかされていた。
チッチ監督は続投も、ネイマールは正念場

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 いま、ブラジルで流行っているジョークがある。

「ブラジルがW杯で優勝できなかったのは日本のせいだ! 日本がベルギーを止めてくれなかったからさ」

 もちろん、ブラジルが負けたのは日本のせいなどでないことは承知している。ブラジルが負けたのは、ただ、ふがいなかったせいだ。だが、サッカーはブラジル人にとって人生そのもの。その失敗は死に等しい。笑い話にでもしないと、やっていられないのだ。優勝すると信じていたチームは、他のチームの単なるひきたて役にすぎなかった。

 ネイマールは世界中でからかわれ、パウリーニョはさっさと中国行きを決め、ガブリエル・ジェズスは1974年以来の、W杯で1ゴールも挙げられなかったCFとして、歴史に不名誉な名を残すことになった。

準々決勝でベルギーに敗れ、呆然とした表情のネイマール photo by Sano Miki準々決勝でベルギーに敗れ、呆然とした表情のネイマール photo by Sano Miki セレソンがブラジルに帰国した際、リオの空港で彼らを出迎えたサポーターはたった56人。彼らを許すことができたのはそれだけだった。数日前、カザンの空港に8000人が詰めかけ、試合には1万6000人のサポーターがはるばるやってきたのが、まるで嘘のようだ。

 それにしても、ブラジルにいったい何が起こったのか?

 今大会、誰もがブラジルを優勝候補の最右翼にあげていた。チッチ監督のもと、ドゥンガ時代の旧弊は一掃され、この1年はほぼ負け知らず。チーム内の空気も和やかで、仲がよく陽気。ブラジルは生まれ変わった、またあの強いブラジルに戻ったのだと、みんなが信じ込んでいた。サポーターも、マスコミも、協会も、監督も、そして選手たち自身も......。 

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