2018.07.14

苦しい時には必ずモドリッチがいる。
旧ユーゴ内戦を乗り越えた男の本性

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 7月11日、モスクワ・ルジニキスタジアム。ロシアW杯準決勝、クロアチアはイングランドを延長戦の末に2-1で下し、同国史上初の決勝進出を果たしている。その中心にいたのが、ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)だった。

イングランド戦でも味方を鼓舞し続けたクロアチア主将ルカ・モドリッチ 後半38分の何気ないプレーに、モドリッチの非凡さが出ていた。右タッチライン沿いでボールをキープしながら、するすると前に運んでいく。サイドで幅と深みを同時に作り出すことで、中央でフリーになったマルセロ・ブロゾビッチへパス。さらに前で動き出したマリオ・マンジュキッチへパスがつながって、チームとしてシュートまで持ち込んでいる。

 おそらくモドリッチは、イングランドの左サイドでアシュリー・ヤングの足が止まりかけているのを見抜いたのだろう。その前後の時間帯は右サイドに活発に流れ、次々にチャンスを生み出していた。敵を手玉に取り、味方を生かす、利発さを感じさせるプレーメイキングだった。

「モドリッチはクロアチアにとって、とても重要な選手で、リズムを作り出せる。キャプテンとして人間性も持っているしね。バルサでレオ(リオネル・メッシ)と一緒にプレーするときも同じだが、とても誇らしい気分になるよ」

 クロアチア代表MFでバルセロナに所属するイヴァン・ラキティッチは、モドリッチについてそう語っている。ボールプレーのうまさだけだったら、ラキティッチもモドリッチに匹敵する。しかし、プレーの渦を作り出す”深淵”においては敵わない。

「モドリッチはレアル・マドリードでチャンピオンズリーグを3連覇しており、ロシアW杯ではクリスティアーノ・ロナウドもメッシも不発だった。2018年のバロンドールに最も近い」