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眠れる獅子が目覚めた。
イングランドが身につけつつある「真の強さ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 この2点目こそ、イングランドが勝者として経験値を積み重ねていることの証左だったかもしれない。

「コロンビア戦は偉大な夜になった。(若いチームである)我々は、このような苦しい試合を乗り越えていかねばならない。その経験が必要なのだ」

 ガレス・サウスゲート監督はそう語っていた。イングランドは今も、大会前と同じく、戦術的な弱点を抱えているのだろう。中盤はジョーダン・ヘンダーソンの才覚に頼り切り。業を煮やしたケインが中盤に落ち、パスをつなぐことで、どうにかボールを前に運べていた。守備に関しても、中盤で防御壁となるブロックを作れていない。プレー全体のクオリティは低いままだ。

 しかし、大会前と同じチームではない。

 スウェーデン戦、ストーンズを中心にしたバックラインは勇敢そのもので、激しいエアバトルを耐え切っている。ヘンダーソンが自陣からディフェンス裏に走り込むラヒーム・スターリングを見つけ、ダイレクトで出したパスは秀逸だった。そしてケインはエースストライカーとしてのエゴを出さず、献身的にチームのために戦っている。

 そうしたストロングポイントで勝利を収めながら、真の強さを身につけつつあるのだろう。2017年、U―17W杯とU―20W杯で優勝しているイングランドには、勢いがある。「フットボールの母国」は長い眠りから覚めたのか。

「我々は勝利を積み重ね続けなければならない。今はチームとして、自信に満ちている。プレーをとても楽しめているよ」

 キャプテンでもあるケインの言葉は頼もしい。

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