ベルギー守護神と指揮官が分析する日本戦。「交代で状況は逆転した」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

 左サイドに強みのあるベルギーは、ヤニク・カラスコ、エデン・アザールという強力なアタッカーが、酒井宏樹のサイドを攻撃した。サイドでの優勢から全体の勝利に結びつけるのが、ベルギーの戦法だった。ところが、この攻撃が不発。酒井のダイナミックなディフェンスに封じられ、連係を作る前に潰される。これによって後ろでボールがつまって、むしろ日本に押される時間が続いた。

 しかし、15分前後からベルギーは優位に立っている。ベルギーにはもうひとつ、攻め手があった。マンチェスター・ユナイテッドの大型FWロメル・ルカクがバックラインでボールを受け、ハイボールを呼び込み、日本の守備陣をたわませる。そこをベルギー攻撃陣がえぐった。ペナルティエリア内でボールを受けたルカクは三方を囲まれながらも、強引にシュートを放っている。

 これでベルギーは一斉に攻勢を開始した。右サイドからクロスを呼び込んだルカクが合わせ、バンサン・コンパニが川島永嗣ともつれながらきわどいシーンを作り、アザールが抜け出してシュートを打つ。しかし、チャンスは作るものの、決めきれない。

 すると31分、日本は香川真司のヒールパスを受けた長友佑都のクロスを、乾貴士がヘディングで狙う。これで呆気なく潮目は変わった。ベルギーは攻め疲れて動きが鈍くなったのか、日本の攻撃に警戒したような空気もあった。慎重な球回しになったことで、プレーがスローになり、日本のプレスに捕まるようになった。前半は膠着したまま終わった。

 迎えた後半の立ち上がり、ベルギーのリズムは悪いままだった。ボールを持てず、後手に回る。サイドで高い位置を取れず、押し込まれて中盤でプレスがきかない。

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