ベルギー守護神と指揮官が分析する
日本戦。「交代で状況は逆転した」 (4ページ目)
アディショナルタイム、クルトワは本田圭佑の左CKをキャッチすると、ボールをそのままフリーのケビン・デブライネへ。日本が前がかりになっていたことで、デブルイネは無人の野を行くがごとく駆け抜け、バックラインのほころびを見透かすようなパスを右のトーマス・ムニエに入れた。ムニエがクロスを折り返すと、これをニアでルカクがスルーし、裏から猛スピードで入ってきたシャドリが合わせ、逆転のゴールが決まった。
「幸いなことに、我々の高さを生かしたゴールを決めることができた。逆転のシーンは、最後のコーナーキックをよくキャッチできたと思う。デブライネが走るのは見えたから、『絶対にゴールしろよ!』と叫んでいたよ」
クルトワはそう試合を振り返っている。緊迫のラストプレーは、関わったどの選手も、ディテールの技術と駆け引きが秀逸だった。
ベルギーは試合をリカバリーするカードを持っていた。それは監督の采配でもあるが、総力戦になったときの戦力差でもある。高さやスピードを武器にする選手がいる、メンバーの多様性の賜物(たまもの)ともいえるだろう。その点、2枚しか交代カードを切れなかった日本とは対照的だった。ベルギーは苦しんだが、わずかに日本を上回っていた。
「日本はルカクをコントロールしていたが、フェライニ、シャドリの投入で状況は逆転した。我々はチームとしてよくなり、アザールが躍動し始めた。そして多くのチャンスをつくることができたんだ」
ロベルト・マルティネス監督の言葉である。
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