「大人の事情」に巻き込まれたサラー。嫌気がさして代表引退の噂 (2ページ目)
「90%のファンと協会幹部が、私のプレーメソッドに満足していない。契約を更新することはないだろう」
クーペルがそう洩らしたことで、確執は抜き差しならないところまできていた。
サラーはこの事態に責任を感じていたという。そもそも、チームの不調は自身の出遅れが大きな要因だった。5月26日のチャンピオンズリーグ決勝で、所属するリバプールはレアル・マドリードと対戦。サラーはセルヒオ・ラモスのラフプレーによって腕を痛め、復帰はW杯直前となった。結局、ウルグアイとの開幕戦には間に合っていない。エースの不在は大きく響くことになった。
クーペルの戦術は、激しく戦う堅守と、スピードと決定力のあるカウンターである。かつてバレンシアで欧州の覇権を争ったときも、抜群の守備力と、クラウディオ・ロペスというアタッカーを擁していた。スピードのあるフィニッシャーの存在こそが戦術ともいえるのだ。
その点、サラーはクーペルの申し子だった。
今シーズンはリバプールでも、そのスピードと決定力で目覚ましい活躍を見せている。リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドを追走する1シーズンだった。それだけに、エジプト代表として挑むロシアW杯も期待されていた。
だが、直前で負ったケガによって、すべての計算が狂ってしまった。短期決戦では、たった1試合のつまずきが、なかなか取り戻せない。ロシアとの2試合目、サラーは強行出場し、PKで得点を挙げているが、チームを救うほどの力は見せることができなかった。
ただ、もしプレー内容に関する問題だけだったら、ここまでこじれていなかったはずだ。
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