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乾貴士、エイバル退団を明言。
移籍先を明らかにしないのは理由がある (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「自分のエイバルでの挑戦というのは今シーズンで終わりと、自分自身で決めた。違うところで自分自身をまだまだレベルアップしたいと考えている。もう30歳になるけど、それでも30歳を超えてからレベルアップしている選手たちをいっぱい見てきた。自分もそういうふうになりたいですし、そういう道を今回は選びました」

「エイバルで成長できないと言ったら、それは違う。エイバルでも十分に成長できた。ここでも成長できたと思っているけれども、せっかくスペインに来て、海外でこうやってやれている中で、1チームだけで終わるというのももったいないかなと。難しい挑戦になるとは思うけど、しっかり準備してやっていきたい」

 スコアレスドローに終わったバレンシア戦。一時は嘔吐をするまでの体調不良から回復した乾のパフォーマンスは軽快なものだった。股抜きプレーでエリア内に侵入すると、メスタージャのバレンシアサポーターも、ついつい驚嘆の声を上げてしまうほどだ。

 乾は、難しいスタジアムで勝ち点1を獲得したチームのパフォーマンスを高く評価していた。だが、個人としては「もっといいプレーができた」「もっとチームの力になれた」といつものように反省を口にする。

 新シーズン、これまで積み上げてきた実績と信頼を捨てて、再びゼロからのスタートとなる乾。そこではエイバルでのような成功は約束されていない。きっと苦しい向かい風に吹きさらされる日もあるだろう。

 それでもサッカーがうまくなりたい、自分の大好きなこのスポーツで成功したいという気持ちが乾を後押しする。そして別れを告げることになるエイバルで培った自信と経験は、きっと大きな力になってくれることだろう。

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