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レアルとバイエルン。4強「常連さん」の
戦術をCL研究家3人が説く (3ページ目)

  • photo by Getty Images

小澤 ただ気になるのは、イスコをトップ下に置いた時、どうしてもサイドの守備が手薄になるという点です。実際、セカンドレグでその問題が露呈しましたよね。ユベントスが第1戦とは打って変わって右サイドから攻めてきて、左サイドバックのマルセロを狙ってきました。

 マドリーとしてもトニ・クロースが右にスライドしてマルセロのところで1対2の数的不利の局面を作られないよう気をつけていたのですが、早いタイミングで右にボールを入れられるとそのスライド対応が間に合いません。それを考えると、やはりルーカス・バスケスとアセンシオを入れた中盤フラットな4−4−2にして、きちんと中盤にもブロックを作った方が安定感は出ると考えています。

中山 おそらく第1戦を完敗した中で、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はそこを意識したのでしょうね。しかも第2戦はディバラが出場停止だったこと、ピアニッチが復帰したことでシステムを4−3−3にして、右サイドからクロスを入れて、左サイドのマリオ・マンジュキッチがフィニッシュするという狙いどおりの戦いができました。

 逆にマドリーはセルヒオ・ラモスが欠場したことが大きかった。代わりにヘスス・バジェホが出場したわけですが、さすがに彼はセルヒオ・ラモスほどのカバーリング能力はありません。マルセロの背後を突かれた時の対応も含めて、そこがウィークポイントになってしまいました。2−0とされた後、ジダンは後半からアセンシオとルーカス・バスケスを入れて中盤フラットの4−4−2にして流れを変えたように見えましたが、結局、一瞬の隙を突かれて2試合合計で3−3になりました。

倉敷 そしてアディショナルタイムの PKです。イングランドのマイケル・オリバー主審のジャッジは、スペインでもPK判定の是非を問う緊急アンケートが行なわれるほどの大騒ぎになりました。ルーカス・バスケスの背後からベナティアがファールをしたという判定ですが、ユベントス側からすれば、それなら第1戦でフアン・クアドラードにも同じことが起きたではないか、と言いたいのでしょうね。

中山 微妙なシーンでしたね。ただ、試合終了直前という時間帯でよくPKの判定を下したと、その勇気がすごいと思いました。試合の流れからすると、マドリーのベンチはもう手を尽くした感もあったので、僕はユベントスが延長戦で逆転突破するのではないかと思って見ていましたから。

倉敷 VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のあるリーグとないリーグが混在する状況は話をややこしくしそうです。そしてマイケル・オリバーは猛抗議したブッフォンにレッドカードを突きつけるわけですが、こちらの判定の方が個人的には残念です。柳に風で、聞こえないふりをしてほしかった。

 ユベンティーノもブッフォンが決められて負けるのなら、少しは心のよりどころがあったと思うんです。ブッフォンのチャンピオンズリーグにおけるおそらく最後のゲームが、こんな形で幕を閉じてしまったことが残念です。バルサのアンドレス・イニエスタもチャンピオンズとはもうお別れ、偉大な選手たちのアンハッピーエンドな幕切れにセンチメンタルな気持ちになりますね。

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