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バルサ、シティの「番狂わせ敗退」を
CL博士3人が論理的に読み解く (6ページ目)

  • photo by Getty Images

中山 確かに2−0になった後、当然バルサは反撃するために前がかりになって流れが変わりかけましたが、ローマはそれをはねのけるように前線からのプレスを持続して、意外と押し込まれる時間帯が短かった。もちろん以前であればそこで1点は返していたと思いますが、今シーズンのバルサはバルベルデが堅実なサッカーを浸透させているので、そういう反発力が感じられません。

 それに対してディ・フランチェスコ監督は、ナインゴランを下げてステファン・エル・シャーラウィを投入して布陣を3-4-3に変えて攻撃のアクセルを踏み切る策も用意していました。結局、小澤さんがおっしゃったように、国内では王者の戦い方で勝ち続けたバルサと、開き直って少ない可能性を追求し続けたローマの噛み合わせとして、カップ戦ではチャレンジャー側のチームに軍配が上がったということなのかもしれません。

小澤 4-4-2で戦っているバルサとしては、前線に横幅がない以上、サイドバックを上げてきちんと攻撃の幅を生み出す形をチームのアイデンティティとして保持しておかなければいけないと思いますが、バルベルデが監督になってからは後方にブロックを作ってしまうのでそれができない。

 今回の敗戦によって、実際フロントの補強策の問題がクローズアップされていますが、もう一度原点に立ち返って、バルサのエッセンスを再確認した方がいいのではないでしょうか。

倉敷 ビッグクラブは多くの公式戦を戦うためにダブルチームが必要だけれど、サブメンバーにジョーカーを入れる余裕はない、ということもありそうですね。

 監督レベルで見れば、決勝ラウンド以降のチャンピオンズリーグにはバルベルデ、ディ・フランチェスコ、ひとつ前のラウンドで敗れたセビージャのヴィンチェンツォ・モンテッラ監督などが、ニューカマーとして名乗りをあげましたが、もっとも評価を上げることに成功したのはディ・フランチェスコでした。ロマニスタたちに語り継ぎたくなるようなゲームを見せ、直後のダービーマッチにも負けずに引き分けた。クラブのステイタスをワンランク上げたのではないでしょうか。

小澤 しかもローマは、セビージャからスポーツ・ディレクターのモンチを獲得して、監督の目利きも含めて、いきなり1年目にしてこの快挙を成し遂げたわけです。改めてフロントの重要性がクローズアップされると思います。実際、現在バルセロナではバルトメウ会長にモンチ招聘を推薦した大物代理人の暴露話をきっかけとして、なぜモンチを獲得しなかったのか、という議論が行なわれています。

倉敷 未来にどんな絵を描くか、そのためには何が必要なのか。それをしっかりとイメージできる人がフロントにいると、監督の人選も含めて方向性が明確になりますね。ファンも納得できるはずです。結局、ファンが望むものを見せるために努力するのが上にいる人たちの仕事です。クラブでも代表でもね。さて、リバプールとローマのどちらがキエフでの未来を見ることになるのかを次回、展望します。

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