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バルサ、シティの「番狂わせ敗退」を
CL博士3人が論理的に読み解く (4ページ目)

  • photo by Getty Images

倉敷 確かにシティは不運でした。第1戦の直後にはプレミアリーグで優勝をかけてダービーマッチを戦い、2−0とリードしながら逆転負け(2−3)。それでも必死に集中を高めて臨んだ第2戦なのに、あやふやなジャッジが続き、後半は監督まで退席になってしまった。一方でリバプールは冷静に試合を運び、勝利をものにしました。勝ち上がりの要因をお二人はどう見ますか?

中山 僕は、セカンドレグでもリバプールの守備に勝因を感じました。この試合ではシティが3-1-4-2的な超攻撃的な布陣で臨み、開始早々に先制して一気に勝ちムードが漂いましたが、そんな中、防戦一方になったリバプールは、前半の途中で中盤のミルナーとアレックス・オックスレイド=チェンバレンの位置を左右入れ替えたり、その後に前線のサラーとロベルト・フィルミーノの位置を入れ替えたりして、見えた綻びを少しでも修復しようというクロップの工夫が見えました。

 もはやリバプールは単なるイケイケのチームではなく、ヨーロッパの舞台を勝ち上がるだけの緻密さ、戦い方のバリエーションを増やしていることが証明されたのではないかと思います。ペップの退席処分がなければ違った展開になっていたとは思いますが、その一方で後半に指揮官不在のシティに対してしっかりトドメを刺して逆転勝利を収めたあたり、このチームの成長と底力を感じますね。

小澤 確かに最近のリバプールは、一発勝負に強いトーナメントタイプのチームにとどまらない成長を見せています。安定感も含めて、シティに押し込まれた時の守備ブロックの作り方やスライドとカバーリングを用いたスペース管理などはとてもよくなっていると思いますし、逆に自分たちのよさを維持しながら、我慢しなければいけない時間帯で戦術的な戦い方もできるようになっています。チームの完成度が高まっているので、CL4強に残ったのは偶然ではないと思いますね。

倉敷 では、リバプールと準決勝で対戦するローマの準々決勝を振り返ります。ファーストレグが4-1でしたからバルセロナが勝ち上がるものと思っていましたが、ミラクルが起こりましたね。ロマニスタには一生忘れられない3−0の勝利。(2試合合計4-4、アウェーゴール差でローマが勝利)。

中山 ある意味では不思議な展開でしたね。カンプノウでの第1戦は、オウンゴール2連発もあって、ローマは何もできずに完敗。ラジャ・ナインゴランを欠いていたとはいえ、ローマらしいアグレッシブさはゼロで、バルサの相手にもなれないという印象さえありました。

 ただセカンドレグは、その時の肌感覚も含めてバルサ側の余裕が仇(あだ)となりましたね。もちろん、開き直ったエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督が普段使ったことのない3-1-4-2を採用して、超攻撃的に戦ったことも吉と出たとは思いますが、それにしても普通に戦えばファーストレグのアドバンテージを守り切ることは、バルサにとってそれほどハードルが高いことではなかったはずです。

 実際、ローマが先制した後も、バルサは慌てずにロングボールを使ってセーフティに戦うことができていたと思います。ただ、普通に戦えば大丈夫だろうという油断がピケの不用意なファールを生み、そのPKによって1点差に追い詰められた。それでも、試合後のコメントにもあったように、エルネスト・バルベルデ監督は「ピッチにいる選手がしっかり対応してくれるだろう」と考えてしまい、何も手を打たずにズルズルとローマの流れに引き込まれてしまいました。

 もしバルサの敗因を挙げるとしたら、後半の静的ベンチワークではないでしょうか。

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