プレミア対決、決勝再現など注目の準々決勝を、CLの達人3名が占う (2ページ目)

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小澤 まず、シティとしてはボールを保持して戦いたいと考えているでしょうね。逆にリバプールはオープンな展開に持ち込んで、トランジションの局面を生かしたいと考えて臨むと思います。そこで注目されるのは、クロップの狙いに対してペップがどのように封じ込めようとするのか、という点です。リバプールは序盤からハイプレスでくるでしょうから、おそらくシティはロングボールもうまく使いながらそれをかわして、リズムをつかもうとするのではないでしょうか。

 現在のペップのチームは、相手の出方に合わせてリアクションもできるようになっていますし、プレミアリーグでよく見受けられるロングボールを多用するチームに対しても、セカンドボールの処理も含めたトレーニングを積んで対応できるようになっています。そういったことはバルセロナ時代はやっていなかったことですし、どんなスタイルの相手に対しても適応できるため、とても完成度が高いチームになっていると思います。

中山 僕も、チームの総合力ではシティに軍配が上がると思います。シティでのペップのサッカーはバルサ時代やバイエルン時代とも違っていて、また新しいかたちに進化を遂げている印象があります。それは、小澤さんがおっしゃるように、プレミアリーグのサッカーに適応するための工夫から生まれたのだと思います。

 おそらく昨シーズンは、自分のスタイルと実際のプレミアリーグとの間にギャップがあって、それにアジャストするために試行錯誤したと思いますが、2年目の今シーズンは開幕前にサイドバックを中心に効果的な補強を行なって、しっかり態勢を整えることができました。そこにケヴィン・デ・ブライネの急成長というプラスアルファの要素なども加わって、プレミアリーグで無敵のチームになったのだと思います。

 ただ、そのシティが唯一苦手としているのが、クロップ率いるリバプールでしょう。前から激しくプレスを仕掛けて、ボールを奪ったらモハメド・サラーとサディオ・マネという高速サイドアタッカーを使って速攻を仕掛けます。

 さらに、中央にはロベルト・フィルミーノという柔軟性のあるセンターフォワードもいて、サラーやマネと絶妙に絡んでくるので、相手DFにとってはとてもやっかいです。そういう点で、ボールを保持することを基本としているシティは敵陣でサッカーをする時間が長いので、どうしてもリバプールの餌食になりやすい。その象徴が、シティが今シーズン唯一リーグ戦で黒星を喫した1月14日の対戦でした。

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