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弱い代表チーム、国際世論の批判...。
W杯開催国ロシアの狙いは外れた (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 しかし市民は、プーチンが仕掛ける「ロシア万歳」の空気に乗ってこないかもしれない。ソーシャルメディアには、スタジアムの建設費用がかさんでいることへの不満があふれていると、ロシアのスタジアムが持つ文化的な意味を研究するオルガ・チェプルナヤは言う。

 さらに最近の世論調査によれば、ロシア人の半数が自分のことを貧しいと考えている。人々が欲しいのは、ゲームではなくパンだ。パーティーが終われば、不満はさらに広がっていく。

 2014年のソチ冬季オリンピックでは、ロシアが国別メダル獲得数でトップだった(後に大規模なドーピングが発覚して多くのメダルが剥奪されたが)。しかし、ワールドカップのロシア代表(愛称スボルナヤ)にはまったく望みがない。現在のFIFAランキング(2017年12月21日発表)は64位と過去最低で、ロシア大会に参加する32カ国のなかで最も低い。

 ロシア代表がワールドカップで振るわなかったら「ロシアの人たちは気まずい思いをするだろう」と、『フットボール・ディナモ──現代ロシアと人民のゲーム』の著者マーク・ベネッツは言う。オリンピックではドーピングの力で多くのメダルを獲得できたが、技術の比重が大きく、戦術がものをいうフットボールでは効果が薄いだろう。

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