原口元気のバイエルン3人抜きが示す「日本人ドリブラー」の可能性

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 日本人ドリブラーは世界に通用するのか?

 それは日本サッカーが世界としのぎを削っていくために、目を向けるべきテーマだろう。近年、日本サッカー界はパス戦術に傾倒しすぎた。世界を席巻したバルサの華麗なパス回しが、極端なサッカー観を作った。一方で日本代表監督がヴァイッド・ハリルホジッチになってからは、ポゼッションをかなぐり捨て、極端なカウンター戦術に舵を切った。パスを極力減らし、"速い攻撃"に主眼を置いた。

 しかし、その両極の間にある「ボールを運び、(敵を)ずらし、仕掛け、崩す」というドリブルこそ、見直されるべきではないか。

 その点で原口元気(ヘルタ・ベルリン)がひとつの可能性を示している。

バイエルン戦で今季初先発、得点をアシストした原口元気バイエルン戦で今季初先発、得点をアシストした原口元気 ブンデスリーガ第7節。ドイツ王者バイエルン・ミュンヘンを相手に、原口は果敢にドリブルで挑んだ。左サイドでボールを受けると、バックラインをドリブルで横切りながら中央に侵入し、突っかけてきたジェローム・ボアテング、ヨシュア・キミッヒという2人のドイツ代表ディフェンダーを卓抜した間合いとコントロールで外し、エリア内に突入。ここで削りにきたマッツ・フンメルスを滑らせてかわし、オンドレイ・ドゥーダに絶妙のラストパスを送って、得点をアシストした(結果は2-2の引き分け)。

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