原口元気のバイエルン3人抜きが示す「日本人ドリブラー」の可能性 (3ページ目)
山田が言うように、原口は試行錯誤の中、ドリブルの切れ味を密やかに上げたのだろう。ドリブルの軽やかさや奔放さはJリーグ時代よりも薄れたかもしれない。しかし、他のプレー精度を高める中、ドリブルに"凄み"が出た。おかげでチームプレーヤーとして欠かせない存在になり、代表でも中心になりつつある。
その進化にこそ、日本人ドリブラーの目指すべきモデルのひとつがあるかもしれない。
エイバルの乾貴士にも同じことが当てはまる。1年目は、守備の強度の低さやポジショニングの拙(つたな)さが指摘され、格上相手では起用されなかった。しかし、2年目に課題を克服。それによって攻撃の精度も高まって、最終節のバルサ戦で2得点を決めるなど、先発に定着した。
「日本人選手の技量はかなり高い。多くの選手がドリブルを得意とし、驚くほど両足も使える。しかし、Jリーグは守備強度が低いので、欧州で通用するには技術をアップデートさせる必要がある」
海外のスカウトは口を揃えて言う。ヨーロッパに渡った日本人選手は出場機会を得るため、まずは強さや速さや激しさに順応する必要がある。乾も原口も、プレーヤーとしてのステージを上げ、ドリブルを"世界仕様"にチューニングした。その結果、より激しく厳しい環境で、技を出せるようになったのだ。
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