松井大輔のポーランド2部移籍。「先の見えない場所に身を置きたい」 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

──ただ、調子のよさと反比例するかのように出場機会が減っている事実もあった。そこに葛藤があったんじゃないですか?

「自分で調子がいいことは分かっていたし、なかなか試合に出られないという現実も頭では理解できていました。でも、やっぱり調子がいい時に試合に出られないのは、選手としては歯がゆい。もちろんプロの世界だから、自分が試合に出た時に結果を出せなかったのは反省すべき点だと思ってます。もうこの年齢だし、出た時に何かを見せつけないと試合で使ってもらえないということは分かっていましたからね」

ジュビロの3年半と移籍を語る松井 photo by Tanaka Wataruジュビロの3年半と移籍を語る松井 photo by Tanaka Wataru──そういう中で、今年から39歳の中村俊輔がジュビロに入団して、大活躍をしているのを目の当たりにした。その姿はどう映りましたか?

「もう、すごいとしか言いようがないですよ。あの年齢で、あのクオリティをキープできていて、毎日ボールを蹴って、大きなケガもなくプレーし続けている。僕にとっては素晴らしいお手本で、いろんなことを考えさせられました。戦術論というか、サッカーの見方や捉え方も、自分にはなかった部分。とても勉強になりました」

──身近にそういう先輩がいて、でも、自分は調子がいいのに試合に出られない。今回の移籍は、そういう現状を打破したいという想いがきっかけになったんですか?

「それだけが理由だったというわけではないですけど、とにかく毎試合に出るというサイクルを取り戻したかったですね。試合に出て、また次の週末に向けてトレーニングするという1週間の流れが、選手にとってどれだけ大切なのかということを痛感していましたから。これは、30代半ばをすぎたベテランにしか分からない感覚かもしれませんけど、とにかく今はそれを取り戻したい。将来的なことを考えても、またヨーロッパに戻りたいというのもありました。

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