伝説の30m弾から15年。ルーニーとエバートンの、ほっこりする話 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 そんななかで実現した今回の移籍劇は、実際のところ、マンチェスター・ユナイテッドがエバートンのエースストライカーであるFWロメル・ルカクの獲得を熱望したため、その取引材料としてルーニー放出を提案したという舞台裏もあった。事実、エバートンがルカクを7500万ポンド(約110億円)という大金で売却した一方で、2019年まで契約を残していたルーニーはルカクの取引に組み込まれ、実質フリー(移籍金ゼロ)での加入となっている。

 とはいえ、ルーニーのエバートン入りがネガティブに捉えられているかと言えば、決してそんなことはない。むしろ生粋のエバトニアン(エバートン・サポーター)として自他ともに認める男の古巣復帰のニュースは、「イングランド史上屈指のスーパースターが自分の原点のクラブに帰ってきた」というロマンチックな物語として、ファンやメディアから好意的に受け止められている。

 エバートン時代のルーニーで真っ先に思い出されるのは、その名を日本のサッカーファンにも知らしめた伝説の一撃――2002年10月19日のアーセナル戦での決勝ゴールだろう。試合は1-1のままアディショナルタイムに突入しようかというそのとき、まだ16歳と360日という童顔の少年が迷わず放った強烈なシュートがネットに突き刺さり、エバートンの本拠地グディソン・パークが割れんばかりの歓喜に沸いたシーンである。

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