ドイツからくも4強進出。苦戦の原因は指揮官レーヴの守備的な選択

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

試合後、健闘を称え合うノイアー(ドイツ)とブッフォン(イタリア)の両GK試合後、健闘を称え合うノイアー(ドイツ)とブッフォン(イタリア)の両GK 6対5。9人目までもつれ込んだPK戦は、両チーム合計7人が外すという派手な乱戦となった。しかし120分の戦いはその逆。地味で、静かだった。

 原因はハッキリしている。守備的な布陣でこの一戦に臨んだヨアヒム・レーヴ監督の采配にある。ドイツの基本線は4-2-3-1。4-4-2もあれば、4-3-3もあるが、ドイツの3-5-2を見たのはいつ以来だろうか。こちらの記憶が正しければ、ビッグ大会では2002年日韓W杯まで遡ることになる。

 イタリアも3-5-2だ。こちらは後ろを固め、カウンターを狙う守備的なサッカーを志向するので、布陣との相性はいい。関係に齟齬(そご)はない。だがドイツのサッカーはそうではない。攻撃的な国だ。かつてはイタリアとともに、守備的サッカーに傾倒していたが、前監督、ユルゲン・クリンスマン時代から一変。イタリアと袂(たもと)を分かち、攻撃的サッカーに転じた。クリンスマンの腹心だったレーヴが代表監督の座を受け継ぐと、攻撃的な流れは加速。その最先端を行く存在になった。

 レーヴは自らが作った流れを、何年前かに意図的に戻そうとした。

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