セビージャがEL3連覇。リバプールを一蹴した「攻撃は最大の防御」 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、アーセナルにはない魅力。イングランドの最近の4強は、いずれも無心になれない弱みがある。100の力を100以上発揮しにくいチーム。挑戦者になりきれない高慢なキャラだ。バルセロナ、レアル・マドリードに太刀打ちできなくなった大きな理由のひとつだが、かつて4強の一角を形成していたリバプールは、それが普通にできる。簡単にガックリしたり、へこたれたりしない、いい意味で鈍感なチームだ。

 2対1から3対1に差を広げても、セビージャは少しも油断できなかったはずだ。だがそこで、ウナイ・エメリ監督は、後ろに下がって守る逃げ切り作戦を採用しなかった。セビージャが、よく見かける一般的なコンセプトで臨まなかったことが、リバプールには誤算だった。

 リバプールが準決勝で対戦したビジャレアルは、セビージャとは異なる方法論で迫ってきた。第1戦を終えて1−0。アンフィールドで行なわれた第2戦では、頭から用心深い戦いをした。普段は中盤フラット型4−4−2から、高い位置でプレスを掛け、ボールを奪取することを信条とするビジャレアル。だが、第1戦でリードを奪うと引いて守ってしまった。それがリバプールの眠っていた力を呼び覚ます結果になった。ビジャレアルが決勝進出を逃した原因、EL決勝対決がCL同様、スペイン同士にならなかった原因だと言える。

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