貧しくてもセリエAで旋風。エンポリがもっとも大事にしていること (4ページ目)

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

ウディネーゼGKからのフィードに対するエンポリの布陣ウディネーゼGKからのフィードに対するエンポリの布陣 まず、守備のあり方は、完全なるゾーンディフェンス。自陣ペナルティ・エリア内での限られた局面を除き、マンマークはない。布陣をギリギリまでコンパクトに保つため、最終ラインは極限にまで高く設定されている(図参照/第23節エンポリ対ウディネーゼ)。

 この図のように、エンポリはコンパクトな布陣で待ち構えるため、ボールがピッチ中央に入ってくれば高い確率でセカンドボールを奪うことができる。よって、敵GKはフィードをタッチライン際に蹴ることになる。実際この場面で、ウディネーゼGKのフィードはタッチラインを割ってエンポリのボールになった。また、ウディネーゼのGKがフィードをピッチの中央に入れてきても、そのボールを競るウディネーゼFWはエンポリDFとMFに挟まれているため、数的不利のなか、ボールを失う。

 現ナポリ(マウリツィオ・サッリ監督)の守備組織もほぼ同じ考え方に基づくといえるが、エンポリの最終ラインはナポリよりもさらに約5〜10mほど高い。もちろん、高くすればDFラインの裏を取られるリスクと常に背中合わせだが、あくまでも「敵陣内でボールを奪って攻撃を仕掛ける」ことに目的があるため、ここに「狭い局面でのポゼッションを可能にするための高いパスの精度」が不可欠になる。

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