貧しくてもセリエAで旋風。エンポリがもっとも大事にしていること (6ページ目)
エンポリの予算規模はセリエA最少の部類だ。一方、下部組織の予算が全体に占める比率は、欧州各国クラブ全体の平均(総予算の約5、6%)をはるかに上回り、約20%に達する。
質素にして一面だけのグラウンドでトップチームが練習する一方、下部組織は“モンテボーロ”という名の充実した施設でトレーニングを重ねている。
(とはいえ、カテゴリーによっては、レオナルド・ダ・ヴィンチ生誕の地、ヴィンチ村にある鄙(ひな)びたグラウンド「通称・ジャガイモ畑」で練習してもいるのだが……)
いずれにせよ、育成のための予算はトップチームがセリエAに残留しなければ確保が困難になる。昨季、エンポリの残留が決まった際、下部組織(U-12)の監督はホッと胸を撫でおろしていた。
こうしたギリギリの戦いを続けながら重ねてきたエンポリの歴史は、今シーズンで96年を数える。
2015-2016シーズンのセリエAは残り14節。小さな小さな地方のクラブ、エンポリは、目標である残留を無事に決めて、どこまで上位に食い込めるのか。それを見守ることもまた、イタリアサッカーの楽しみなのだ。
6 / 6