貧しくてもセリエAで旋風。エンポリがもっとも大事にしていること

  • 宮崎隆司●取材・文 text by Miyazaki Takashi photo by Getty Images

 今シーズンのセリエAで、奇跡的とも言うべき健闘を見せているクラブがある。人口4万人の小さな田舎町のクラブ、エンポリである。今季のエンポリは、イタリアサッカー界すべての予想を覆し、現在勝ち点「33」で9位(第24節終了時点)と順位表の上半分に位置している。
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 ただ、降格圏(18位以下)との差こそ「14」に開いているものの、まだ長い道のりを残すシーズンでこの先何が起こるかわからない。「残留こそが唯一にして最大の目的」とするエンポリは、是が非でも勝ち点を積み上げていかなければならない。

 そんななかで迎えた第24節(2月7日)、敵地へ乗り込んでのアタランタ戦(13位)。同じく残留を目標とする地方クラブとの直接対決である。ちなみに、過去の歴史でエンポリはベルガモ(アタランタの本拠地)で勝ったことがない。

今季からエンポリを指揮するマルコ・ジャンパオロ監督今季からエンポリを指揮するマルコ・ジャンパオロ監督「短いベンチ(=控えの選手層が薄い)」ゆえにレギュラー陣が疲労を蓄積させたエンポリは、中3日で迎えたこの試合で精彩を欠いた。だが、それでも敵にシュートさえ打たせない堅固な守備で0−0の引き分け。貴重な勝ち点1を手にしている。これで残留確定ラインとされる「勝ち点38」まであと「4」とした。

 要するに、例年であれば「いい試合はした、だが勝ち点は0に終わった」となっていた試合を、今季のチームは落とさなくなった。ここに、マルコ・ジャンパオロ監督の手腕を見て取ることができる。

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