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乾貴士、エイバル移籍。鬼門の地スペインで戦うには何が必要か (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

「戦うことを強く求めるバスクの典型的クラブ。Actitudを学び、少年が男になる」

 エイバルの本質はそう語られる。Actitudとは姿勢や身構えを指すが、男としての行動規範だろう。仲間のために粘り強く戦えるか。そこで心身を鍛えられた若い選手は、技術を戦いの中で出せるようになっていく。事実、シャビ・アロンソ(バイエルン)やダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)は若手時代にエイバルにやってきて殻を破っている。

 はたして、乾はエイバルで男になれるのだろうか?

 日本人サッカー選手が海を渡って久しく、現在の価値は昔よりも安定的に高まっている。イタリア、セリエAでは中田英寿が道を開き、長友佑都と系譜が続く。オランダ、エールディビジでは小野伸二が成功を遂げ、本田圭佑、吉田麻也らが結果を残してきた。フランス、リーグアンでは松井大輔、スコットランドでは中村俊輔、スイスでは中田浩二など、各国にそれぞれ成功者が生まれている。

 とりわけ、ドイツ、ブンデスリーガでは日本人選手がブランド化した。民族的気質が合っているのか、規律、秩序、責任感、犠牲精神といった部分が符合。フランクフルトの長谷部誠は、日本人の道を大きく切り開いた功労者と言える。奥寺康彦、高原直泰が耕し、長谷部が実らせた。岡崎慎司、香川真司、内田篤人らがドイツでいいスタートを切ることができたのには、先駆者の存在があった。

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