乾貴士、エイバル移籍。鬼門の地スペインで戦うには何が必要か

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

 8月26日、日本代表MFでドイツ、フランクフルトに所属していた乾貴士がリーガエスパニョーラ、エイバルとの契約にサインした。前日にメディカルチェックを済ませ、契約期間は3年間。スペインの大手スポーツ紙、マルカは「両サイドでプレーできるウィング」と紹介し、移籍金は50万ユーロ(約7千万円)とも伝えられる。

フランクフルトからエイバルに移籍した乾貴士フランクフルトからエイバルに移籍した乾貴士 乾が新天地に選んだエイバルは一昨季に2部で1位となり、クラブ史上初の1部昇格を成し遂げている。スペインの北、バスク地方にある人口2万7千人の町の小さなクラブで、本拠地イプルーアの収容人数は5250人。もともとは炭鉱夫たちが作ったチームで、絆と共闘精神で歴史を紡いできた。昨季1部に昇格するまで、真冬でも氷水に入り疲れを取る伝統があったように、質素で慎ましく、華やかさとは縁遠い。

 早い話、リーガで一番貧乏なクラブである。

 2014~15シーズンの年間予算は約1800万ユーロ(約25億円、2部に在籍していた2013~14シーズンは320万ユーロ)で、レアル・マドリードの約6億ユーロ(約816億円)と比較すると、30分の1以下の戦力になる。戦術も、リーガが全体的に精度の高いパスワークで崩すのに対し、エイバルは速さや強さや粘り強さを武器とし、むしろプレミアの下位チームに近い。

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