新体制始動のミラン。鬼軍曹vsオーナーの関係に一抹の不安 (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by BUZZI/FOOTBALL PRESS

 ミハイロビッチはベテランとまではいかないが、それなりの経験を持っている。アシスタントコーチ時代も入れればすでに10年近くのキャリアがあり、最近では低迷していたサンプドリアに(棚ぼたではあるが)ヨーロッパリーグ出場権ももたらしている。

 ただしこの選択、実はコアなミラニスタにはあまり歓迎されていない。なぜならミハイロビッチはあまりにもライバル、インテルの青と黒のイメージが強すぎるのだ。現役時代にはインテルで2シーズンプレイし、引退後もインテルに残って第一次マンチーニ政権下でアシスタントコーチを務めた。おまけに以前には「自分はたとえ飢え死にしようとも、ミランの監督になんてならない」とまで発言している。ミラニスタが手放しで歓迎できないのも当然だろう。

 それに最初にミランが新監督として狙っていたのはレアル・マドリードを辞めたばかりのカルロ・アンチェロッティだった。経歴から言っても、そして何よりミランとのつながりの強さから言っても、アンチェロッティはピカイチだ。結局アンチェロッティは健康上の理由でミランからのオファーを断ったのだが、夢を見てしまっただけにミラニスタの失望は大きかった。ただミハイロビッチが良い監督であることは彼らも知っている。今はお手並み拝見といったところだろう。

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