新体制始動のミラン。鬼軍曹vsオーナーの関係に一抹の不安

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by BUZZI/FOOTBALL PRESS

 7月3日、ミランが新シーズンに向かって動き出した。この日、ミランの新オフィス、カーサミランでは記者会見が行なわれ、その後、ミラネッロで選手たちが初練習に臨んだ。

ミランの練習場で指導するミハイロビッチ監督ミランの練習場で指導するミハイロビッチ監督 2015~2016シーズンにおけるミランの急務は、言うまでもなくセリエAの上位に、そしてヨーロッパのトップチームに返り咲くことである。前々季は8位、前季は10位と低迷するミランに対し、すでにサポーターの我慢は限界に来ている。「ヨーロッパ最多タイトルチーム」をうたい文句にしているチームにとって、現状はあまりにも屈辱的である。

 例年、新シーズンの初日にはクルバ・スッド(ゴール裏)のウルトラスたちがチーム本部前に集まり、エールを送るのだが、今年はそれも見られなかった。これまでの不満の表れである。

 さて、新生ミランが昨シーズンと比べ変わった点はまず監督だろう。監督を選ぶにあたり、ミランはこれまでと大きく方針を変えてきた。(たとえ監督経験はなくとも)ミランブランドの香りを強く放つ人物、というのがこれまでのミランのポリシーだった。セードルフ然り、インザーギ然り。しかしここ2年の失敗に懲りてか、彼らが新監督に選んだのはこれまでとはほぼ真逆の人物、セルビア人監督シニシャ・ミハイロビッチだ。

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