首位独走態勢へ。チェルシー支えるモウリーニョ流 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Getty Images

 スウォンジーは現在9位に位置するものの、今季は開幕戦でマンチェスター・ユナイテッドから金星を挙げたほか、11月にもアーセナルに逆転勝ちを収めるなど、ホーム・リバティ・スタジアムでの大物食いぶりが目立つ厄介な相手。しかし、蓋を開ければ、開始50秒にオスカルのミドルで先制すると、その後もジエゴ・コスタの2ゴールなど前半だけで4ゴールを奪い、45分で試合の行方を決めてしまった。

 安定感を支えるのはボールを保持していない時間帯の戦い方、特に相手にスペースを与えないソリッドな守備にあり、そこがマンチェスター・ユナイテッドやアーセナルとの決定的な違いともいえる。スウォンジー戦を見ても、セスクを中心とした細かいつなぎから生まれた2点目を除いて、前半の4ゴール中3ゴールが、相手陣内で効率的にボールを奪ってからの速攻によるもの。チェルシーらしさが随所に表れていた。

 そして何より黒星を喫した次の試合で、嫌な流れを引きずることなく、しっかりとチームを引き締め直し、結果を出してくるのがモウリーニョ流だ。ちなみに、トットナム戦で5失点を喫したあとの2試合は、GKをクルトワからチェフに代えており、ポジション争いという点でも常に刺激を与え続けるのが、モウリーニョらしい。

 また、今季のチェルシーは、ここまでリーグ17ゴールで得点ランクのトップを走るFWジエゴ・コスタと、プレイメーカーのセスクの2人が昨夏に加わったことで、決定力と展開力が増し、総得点でも「51」とリーグ最多を誇っている。これまでの持ち味だったカウンターに加え、後方から攻撃を組み立てられるようになったことで、引いて守ってくる相手からも確実にゴールが奪えるようになった。このことは取りこぼしを減らすことにもつながっている。

 とりわけプレミア移籍1年目ながら得点を決め続けているジエゴ・コスタの貢献度は大きい。常に相手DFの裏を狙い続ける姿勢は、相手ディフェンスラインを下げ中盤にスペースを空ける役割も果たしており、執拗な裏狙いから放つ豪快なシュートは驚異の決定率を誇っている。

 枠内シュート率は、14ゴールで得点ランク2位のアグエロ(マンチェスター・シティ)が58%なのに対し、ジエゴ・コスタは72%。大雑把にいえばシュート4本中3本は枠内に飛ばしている計算だ。華麗なゴールは皆無で、シュートの数自体も少ない。だが、その高い枠内シュート率こそ対戦相手の脅威になっている。

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