2015.01.20

スティーブン・ジェラードがやり残した「最後の大仕事」

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi  photo by AFLO

 2015年のサッカー界は、衝撃的なニュースで幕を開けた。
「リバプールが、スティーブン・ジェラードの今季限りの退団を発表」

 元日に行なわれたプレミアリーグのリバプール対レスター戦直後から、まことしやかに囁(ささや)かれたウワサが現実となったのは、翌1月2日のことだった。リバプールサポーターはもちろん、世界中のサッカーファンが「リバプール一筋」と信じて疑わなかったジェラードが、まさかクラブを離れることになるとは......。青天の霹靂(へきれき)とも言うべきこのニュースを聞いて、思わず絶句してしまったファンも多いのではないだろうか。

今シーズン限りでリバプールを退団するスティーブン・ジェラード 退団理由について様々な憶測が飛び交ったものの、ジェラード本人がブレンダン・ロジャース監督と今後の起用方法について話し合いを行なった際、34歳という年齢を考慮して出場機会を調整しながら起用する意向を告げられたことが大きな決断につながったという。常にスタメン出場でチームを牽引してきた闘将ジェラードにとって、それが受け入れがたいものだったことは想像に難(かた)くない。

 もっとも、「人生で最もタフな決断だった」と明かしているように、ジェラードの『リバプール愛』が薄まったわけではない。移籍先チームについても、「愛するリバプールと対戦したくない」という理由から、かつてデビッド・ベッカムがプレイしたMLSロサンゼルス・ギャラクシーに内定済みだ。残りシーズンを全力で戦うことを誓っているジェラードとリバプールの関係は、退団が決まった今も、相思相愛であることに変わりはないのである。

 おそらく、ジェラードとリバプールの関係がこれほど固い絆(きずな)で結ばれるようになったキッカケは、2003年から2005年にかけての濃密な3年間にあったと思われる。

 2003年の秋、当時の指揮官ジェラール・ウリエは機が熟したと見て、キャプテンをサミ・ヒーピアからジェラードに変更することを決断。すると、23歳にして伝統のクラブのキャプテンマークを腕に巻いたジェラードは、それまで以上のパフォーマンスを見せるようになり、チームのチャンピオンズリーグ出場権獲得に大きく貢献したのである。

 キャプテンマークは、ジェラードのプレイの質だけでなく、人間性においても大きな成長を促(うなが)した。同時にそれは、クラブが未来をジェラードに託したことを意味していた。

 そして、その翌シーズンに起こった一連の移籍騒動が、ジェラードとリバプールの関係をより強固なものにする。