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最小エネルギーで2ゴール。メッシの不調は確信犯? (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 とりわけ、開幕前から「是が非でも手にしたいタイトルだ」と公言してきたメッシのワールドカップに対するモチベーションが、急に低下するとは思えない。むしろ、今は無駄な力を使わずに最低限の仕事をしておいて、強豪と対決するころに照準を合わせてギアを上げていくという算段であろう。

 また、気を緩めることなく、これだけ動かない選手をマークし続けることは、動き続ける選手をマークするより、かえって相手にとって難しいタスクであることも頭に入れておかなければいけない。歩いているからといって無視していると、メッシの周辺にスペースを与えてしまうことになり、それはイコール、失点につながるピンチを招く危険性が高まることを意味する。

 かといって、ほぼ歩いているメッシにマンマークをつければ、守備の人数がひとり減ってしまうばかりか、全体のバランスも崩れてしまう。実際、この日のイランはそのあたりに苦労していて、ボールを受けた瞬間にメッシがファウルで潰されるようなケースは意外と少なかった。イラン守備陣が、メッシとの距離を維持するのが難しかったからだ。

 果たして今後、メッシとアルゼンチンは調子を上げて、別のチームに変化していくのだろうか。確かに現時点で、アルゼンチンの優勝に太鼓判を押す人は少ないだろう。しかし、そのポテンシャルを考えると、今の低調ぶりはかえって不気味とも言える。

 すでに勝ち点を6に伸ばしたアルゼンチンは、グループリーグ突破を決めた。6月25日には勝ち点4の2位ナイジェリアとの直接対決が待っているが、順当に行けばグループ首位通過は間違いない。

 決勝トーナメント以降のメッシとアルゼンチンは、やはり要注目である。

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