2014.06.22

最小エネルギーで2ゴール。メッシの不調は確信犯?

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by AFLO

 ようやく役者が仕事をしたのは、後半45分を回ってからのことである。

 右サイドのバイタルエリアでボールを受けると、DFひとりを内にかわして得意の左足を素早く振り抜く。すると、シュートは絶妙なカーブを描いてサイドネットに突き刺さり、ついに試合の均衡が破れた。

試合終了直前にゴールを奪い、今大会2点目をマークしたリオネル・メッシ この日、スタジアムの7割近くを埋めていたアルゼンチンサポーターの多くがスコアレスドローを覚悟したであろう時間帯に生まれた、まさに値千金の決勝ゴール。それまで必死にアルゼンチンの猛攻に耐え、もう少しで勝ち点1を手にできたはずのイランにとっては、悔やんでも悔やみきれないシーンだったに違いない。結局、試合はそのまま1−0で終わった。

 その役者とは、もちろんアルゼンチンの10番、リオネル・メッシのことである。

 おそらくこの日のメッシについては、初戦同様、その評価の賛否が分かれることだろう。今シーズンのバルセロナでのパフォーマンスについても運動量の少なさは度々批判の対象となっていたが、ワールドカップにおけるここまでの2試合は、その傾向がさらに顕著になっている印象を受ける。ともすると、まるでやる気がないように見えなくもない。

 実際、この試合に臨んだアルゼンチンのシステムは4−3−3だったが、事実上は、「4−3−2+メッシ」という変則的なものだった。

 フィールド9人がメッシを除外した形で攻守のバランスを保ちつつ、その中でメッシは自由気ままにポジションをとっていた。メッシが右にいるときは4−3−3にも見えるが、中央にふらふら入ってくると、4−3−1−2に見える。左サイドにポジションをとったときなどは、もはや明確な数字では表せないような変形布陣になるのだ。